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2009年10月15日木曜日

42.マイクロバブルと日本混相流学会講演会(その4)――植物に及ぼすマイクロバブルの効果

  
(有)OKエンジニアリングの松永です。
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「ナスとトマト栽培へのマイクロバブルの適用」氷室昭三先生(有明高専) 

8月7日から9日まで、熊本大学で第28回日本混相流学会の総会と講演会がありました。
前回に続き氷室先生の報告です。

野菜栽培へのマイクロバブルの適用 ノリの培養と同じ論文で、野菜栽培(ナスとトマト)におけるマイクロバブルの効果についての実験も載っていました。
色々興味をひく現象が起きていますので、長くなりますが、ほぼ全文を引用します。

まず、「実験方法」から。
「ナスとトマトについては、5月19日から8月20日まで同じビニールハウス内での栽培を実施した。ナスはマイクロバブル系と対照系6本ずつ、トマトはマイクロバブル系と対照系3本ずつとした。
マイクロバブル発生装置は本校のH20型を使用した。この装置に使用したマグネットポンプは、㈱イワキ製のMD-20RZ-N型(最大流量11dm³/min,最高揚程6.9m、消費電力50W)である。朝夕5分間の潅水を行った。」

次に「結果と考察」 「ナスの93日間の総収穫量であるが、マイクロバブル系が28kgに対し対照系が23kgであった。93日目の根を掘り起こしてみたが、マイクロバブル系の方がかなり大きく育っていることがわかった。一方。トマトであるが、93日間の総収穫量は7.8kgに対し対照系が6.3kgであった。トマトについても根の大きさに著しい差がみられ、マイクロバブルの効果を示すことができた。ナスとトマトの根を専門家に見てもらったが、次のようなコメントを述べられた。『根の張り方を比較すると、ナスのほうが顕著に差が現れている。やはり、根の張り方で収穫が変わってくる。作物は、取れて休んでのまた取れてと一定の波がある。根が張っているということはその波が小さいと言う事になり、収穫量につながる。マイクロバブル潅水した根は、太根の数も多く、その大きさも大きい。長さは途中で切れているようだが長いだろうと推測できる。細根の数も多い。ナスの根にセンチュウが付いていたようだが、虫にも強いようだ。根が張っているということで、巌寒期の育成に良いのではないだろうか。この結果は、偶然ということはありえないようだ。マイクロバブル潅水した土壌は。柔らかい土壌になったと言うことだが、それは微生物の影響かもしれない。十分な堆肥を入れたときと同じ状態を科学的に作ったの野かも知れない。』 」

氷室先生の論文を3回に分けて紹介しました。マイクロバブルが植物の成長に大きな効果があることが報告されました。
植物の根が大きく、多くなることのメカニズムが、近い将来解明されることを楽しみにしています。

2009年10月6日火曜日

41.マイクロバブルと日本混相流学会講演会(その3)――植物に及ぼすマイクロバブルの効果 (イチゴ栽培へのマイクロバブルの適用)


 「イチゴ栽培へのマイクロバブルの適応」氷室昭三先生(有明高専)  

8月7日から9日まで、熊本大学で第28回日本混相流学会の総会と講演会がありました。
前回に続き氷室先生の報告です。

イチゴ栽培へのマイクロバブルの適用
ノリの培養と同じ論文で、イチゴ栽培におけるマイクロバブルの効果についての実験も載っていました。
結論から先に言うとマイクロバブルには「イチゴの成長促進効果があることがわかった。」とのこと。
「単位面積当たりの積算収穫が、マイクロバブル系が28.0kg/m²で、対照系が25.3kg/m²となったことから、マイクロバブルを潅水している方が、対照系に比べて11%向上している結果がえられた。」と、数値結果が出ています。

「試験場所は荒尾市で、試験規模はマイクロバブル系も対照系もビニールハウスで34×6mである。試験機関は10月4日~4月1日で、イチゴの品種はエミリーを用いた。ハウス栽培の定植(約1,000株)に対して、マイクロバブル水を潅水(1回/4~5日)」している。潅水には地下水を使用し、2,000dm³の水を120分間バブリングしている。これは「マイクロバブル発生装置内(H100)を通算6回通す計算となり、この循環中に地下水が活性化」されていると言います。

マイクロバブルをバブリングすることで地下水に以下のような興味深い現象・変化が起っています。
①地下水の溶存酸素量は約2mg/dm³であったが、120分間バブリングすることで溶存酸素量はほぼ飽和値に達した。
②pHは5.7から4.1に下がった。
③同時に酸化還元電位は277.2から377.8に上昇した。
④温度は19.0℃から19.5℃に上昇した。
(電気伝導率はほぼ変化しなかった。)
「地下水をマイクロバブル処理するとpHが低下することがわかった。」すなわち酸性に片寄ることがわかった。

マイクロバブルは、地下水にこれらの変化を及ぼし、イチゴの成長を促進していますが、今後さらに成長促進のメカニズムが解明されることを楽しみにしています。

2009年10月1日木曜日

40.マイクロバブルと日本混相流学会講演会(その2)――植物に及ぼすマイクロバブルの効果

  
(有)OKエンジニアリングの松永です
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「ノリの培養にマイクロバブル」氷室昭三先生(有明高専)      
                                                                    (有)OKエンジニアリング

8月7日から9日まで、熊本大学で第28回日本混相流学会の総会と講演会がありました。
昨年に続き2回目の参加になります。非常に勉強になりました。論文発表の中から私が興味を持ったものを数回にわたって書きたいと思います。最初は氷室先生の報告です。

ノリの培養にマイクロバブル
昨年は「マイクロバブルを使った焼酎づくり」(氷室昭三氏他2名)で、焼酎の味がまろやかになることが味覚センサーで立証されこと、マイクロバブルの酵母への生物活性作用を確認できたことが報告され興味を持ちました。
今年は、「ノリの培養へのマイクロバブルの適用」に関する研究でした。「試験規模は、縦2m、横2m、深さ約1mのノリ糸状体培養水槽44基のうちの1基をマイクロバブルでバブリングした。試験期間は6月29日~7月30日とした。」「マイクロバブル発生装置2台を対角線上に設置した。」

 この実験で興味深いことが、観察されています。
①「マイクロバブル効果確認試験における溶存酸素濃度から、夜間はノリ糸状体や珪藻類のの自呼吸により、昼間、光合成で蓄えた培養水槽内の溶存酸素が消費されているのがわかった。」
②「また、マイクロバブル系のノリ糸状体は、対照系に比べて、酸素を供給しているにもかかわらず、溶存酸素の消費量から、夜間、非常に活発に活動しているものも判明した。」
③「マイクロバブル系も対照系もpHは約8.2でほぼ安定していた。
④原因はっきりしないが「7月下旬頃より、珪藻類の付着が激しく、糸状体の成長が遅いとの報告を受けたため、7/31急遽、装置を撤去した。
⑤「しかしながら、10月にはノリの胞子定着率において、マイクロバブル試験を行っていた培養水槽の糸状体が、44槽中で一番よかった。
⑥「通常の糸状体の胞子率が60%であるのに対して、マイクロバブル適用糸状体は、85%であった。」

 この結果からすると、マイクロバはノリに対して大きな効果があることが分ります。
  「ノリの担当者によると『種入れ時期が5月と遅く、条件が悪いにも関わらず、顕微鏡検査をすると、胞子の色、形とも申し分なく、普通に、胞子定着率85%のものを作ろうとしても作れない。‐‐‐‐‐。』とのことであった。」と結んでいます。
 
 今後、胞子定着率アップのメカニズムは明らかにされるでしょう。これもまた、興味があります。  同時に、イチゴとトマトについての報告もありましたが、次回にします。